『ほつれ=不良品』とは限らない?服の縫製で知っておきたい基礎知識
新しい服が届いて、楽しみに袋を開けたその瞬間。
ふと見つけた“糸の飛び出し”。
「え、これってほつれてる…?」
「もしかして不良品…?」
そんなふうに、不安になった経験はありませんか?
ですが、その“ほつれ”のように見える状態が、必ずしも不良品とは限りません。
もちろん、本当に交換や返品が必要な不良品もあります。
だからこそ大切なのは、「どこまでが正常で、どこからが不良なのか」を知っておくこと。
この記事では、“糸のほつれ=不良品”と決めつける前に知っておきたい、服の縫製に関する基礎知識をわかりやすく解説します。
糸の“ほつれ”を見つけたら不良品?

お客様からのお問い合わせでも、特に多いのが“糸のほつれ”に関するご相談です。
せっかく楽しみにしていた新しい服に、糸が少し飛び出していたり、アーチ状に糸が出ていたりすると、
「これって不良品なのでは…?」
と不安になるのも無理はありません。
しかし、その多くが不良品ではなく、縫製工程の中でどうしても発生する
【始末糸(しまついと)】
であるケースがほとんどです。
始末糸ってなに?

始末糸とは、縫い始めや縫い終わりに出る余分な糸のこと。
製造過程で糸を処理した際にわずかに残ることがあります。
見た目には“ほつれ”のように見えてしまうこともありますが、縫製自体に問題がなければ、基本的には着用に支障はありません。
つまり、「糸が出ている=不良品」とは一概には言えないのです。
大切なのは、その糸が単なる始末糸なのか、それとも縫い目自体がほどけている“本当のほつれ”なのかを見極めること。
まずは慌てて返品や交換を考える前に、服の状態を正しく確認することが大切です。
よくある"ほつれ"の正体を知ろう

先ほどお伝えした通り、お問い合わせいただく“糸のほつれ”の多くは、
実際には【始末糸】の処理がちゃんとできていないものです。
始末糸は、通常だと縫製後に短くカットして整えられますが、
製造工程の中でまれに処理が甘く、糸が少し長いまま残ってしまうことがあります。
あくまでも不要な糸端が残っているだけで、
縫製そのものに問題がないことがほとんど。
縫い目自体がほどけていないことを確認できれば、
飛び出している部分だけを処理してしまえば基本的に問題ありません。
始末糸なのかの確認ポイント
見た目だけでは判断が難しい場合もありますが、
以下のポイントを確認することで、“始末糸”なのか“縫製不良”なのかをある程度見分けやすくなります。

まずチェックしたいのは、【糸が飛び出している周辺の縫い目】。
始末糸の場合は、余分な糸が表面に出ているだけで、肝心の縫い目はしっかり縫われています。
一方で縫製不良の場合は、縫い目がゆるんでいたり、生地の合わせ部分が開いていたりと、明らかに“縫製自体が崩れている状態”が見られます。
ポイントは、「糸が出ていること」よりも「縫い目が正常かどうか」を見ることです。
やってはいけないNG対応

始末糸だと分かっていても、扱い方を間違えると、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。
特に注意したいのが、“出ている糸をそのまま無理に引っ張る”こと。

一見すると、飛び出している糸をスッと引き抜けばきれいになりそうに思えますが、これはNG。
始末糸は不要な糸であっても、縫製の途中で他の糸や縫い目に巻き込まれている場合があります。
その状態で無理に引っ張ってしまうと、本来問題のなかった縫製部分まで一緒に引きつれてしまい、下記のようなことが起こります。
- 縫い目がゆるむ
- 糸が連続して抜ける
- 生地の合わせ部分が開く
上記のような状態になると、自分で本当の“ほつれ”を作ってしまうことも。

せっかく正常だったものが、誤った対処によって不良状態になってしまう可能性があります。
正しい対処方法は?
正しい対処方法は、実はとてもシンプル。
飛び出している糸が“始末糸”だと判断できた場合は、
【不要な部分だけをカットするだけ】
でOKです。
特別な道具や難しい作業は必要なく、糸切りバサミや先の細い小さなハサミがあれば十分対応できます。
ただし、切り方を間違えると縫製を傷めてしまう可能性もあるため、いくつか注意したいポイントがあります。
糸を切る時の注意点
・糸を強く引っ張らない

「切りやすいように少し引っ張ってから…」
そうしたくなることもありますが、これは避けたほうが安心です。
糸が他の縫製部分に巻き込まれている場合、引っ張ることで必要な縫い目まで動いてしまい、縫製がゆるむ原因になることがあります。
糸はできるだけ自然な状態のまま、飛び出している部分だけを確認しましょう。
・根元ギリギリから切らない

できるだけ短く切りたくなるかもしれませんが、根元ぴったりを狙いすぎるのも注意が必要です。
縫い目のすぐ近くを切ってしまうと、必要な縫製糸まで一緒に切ってしまう可能性があります。
そのため、少し余裕を残しながら、飛び出して気になる部分だけをカットするのが安全です。
“きれいに処理する”ことよりも、縫製に影響を与えないことを優先する のがポイントです。
不安な場合は無理をしない
もし、下記のような不安がある場合は、
無理に自己処理せず、購入店へ相談するのがおすすめです。
- どこまでが始末糸か分からない
- 縫い目とつながっているように見える
- 切ることで悪化しそうで不安
飛び出した糸を見ると焦ってしまいがちですが、
「引っ張らず・切りすぎず・慎重に」 を意識するだけで、ほとんどの場合はきれいに対応できます。
少しの知識があるだけで、“不良品かも…”という不安もグッと減らせます。
おわりに
今回ご紹介したように、多くは縫製工程で生じる【始末糸】であり、必ずしも不良品とは限りません。
大切なのは、見た目だけで判断するのではなく、
“正常な仕様”なのか“本当の不良”なのかを見極めることです。
もし始末糸であれば、正しく対処することで問題なく着用できるケースも多く、不要な返品や交換を避けられることもあります。
反対に、判断が難しい場合や縫製自体に違和感がある場合は、自己判断で無理に処理せず、購入店へ相談するのが安心です。
“糸が出ている=不良品”と決めつける前に、
まずは服の状態を落ち着いてチェックしてみること。
少し知識があるだけで、余計な不安を減らし、大切な一着をより安心して楽しめるはずです。
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