フラワーマウンテンを徹底解剖│世界が認める日本発のスニーカーブランド「Flower MOUNTAIN」とは?
どうも!ウルトラウォーキングを愛し、ウォーキングの女神に愛されたい男、コロモビト.ライターのワタナベです。
前回、この秋冬注目のアイテム、フラワーマウンテンとナンガのコラボモデル“ヤマノスリー”を徹底解説しました。
その記事を読んだ読者から、私宛にあるリクエストがちらほら…
「ブランド公式ページを見て、自然からインスピレーションを受けてデザインされているブランドなのは分かった。だけど、ブランドの成り立ちや、デザイナーの事など、もっと詳しいことが知りたい!」
はい!リクエストに全力でお応えします。
ということで、今回は、世界が注目するシューズブランド「フラワーマウンテン」について、徹底解説していきたいと思います。
それでは、さっそく行ってみましょう!
▼前回のコラボモデル解説が気になる!orまだ読んでいない!という方はコチラから▼
Flower MOUNTAINとは?
フラワーマウンテンは、2015年に誕生した日本発祥のスニーカーブランド。
創設者は、老舗靴問屋で修行し、OEMシューズのデザイン経験も持つ太田圭輔(おおたけいすけ)氏と、中国・北京在住のデザイナー、ヤン・チャオ(Yang Chao)氏の二人。
日本国外でも人気が高く、自然をモチーフにしたデザインは、唯一無二の存在感を放ち、高い機能性も兼備したアイテムを展開しています。
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ブランドを立ち上げた二人のデザイナー
太田圭輔(おおたけいすけ)
太田圭輔(おおたけいすけ)
1974年生まれ。大学卒業後、老舗靴問屋に入社。買い付けから生産管理まで靴づくりのすべてを経験し、2013年に独立。
2015年、中国のデザイナー楊超とともに「Flower MOUNTAIN」を設立。
挫折と同時に始まった靴屋としてのキャリア
学生時代は音楽をずっと続けていた太田氏。地元北海道のラジオ番組の企画で見事優勝し、大学在学中にデビューが決定。しかし、デビュー直前にまさかの全てが白紙に。
デビューする気満々だったため、就職活動は全くしていませんでした。傷心の中、大学で開催された会社説明会に参加し、そこで新たなキャリアとして靴屋への就職を決断します。
靴産業のメッカ浅草へ
札幌の営業所に籍を置いていた太田氏は、ほどなくして東京転勤の打診を受け、特に断る理由もなく上京。その転勤先の会社は、日本の靴産業のメッカ──浅草に本社を構える靴問屋でした。
配属先は国際事業部。主な業務は、海外で買い付けた靴を国内の小売店へ販売すること。並行輸入のスニーカーも数多く取り扱い、かなりの数をさばいていたといいます。
最初のうちは新鮮で面白かったものの、次第に「他人の褌で相撲をとっているような気がする」と感じるように。やがて太田氏は、常務に「つくるほうをやりたい」と直談判します。
幸い、同社は中国や韓国に生産背景を持っていたため、スムーズに製造部門へのシフトが実現しました。
生まれて初めてのものづくりの現場
自分がまだ役に立てないことは、太田氏自身も十分理解していました。
それでも、少しでも力になりたいという思いで製造ラインに入り、一日中バフがけや仕上げ作業に没頭していきます。
そうしているうちに、型紙の切り方などの技術も次第に教えてもらえるようになりました。
「一枚の革を立体の靴に組み上げる作業は、本当にクリエイティブな仕事で、すごく面白い。まるで小さな建物をつくっている感覚でした」と太田氏は語ります。
飽きることなく、気づけば十余年。
現場で培った知識と経験を糧に、太田氏は2013年、ついに独立を果たします。
最強のパートナーとの出会い
「いつかやってみたいことのひとつに、会社経営があったんです。その年は、目をかけてくれた常務が会社を辞めた年でもありました」。
太田氏は思い切って企画会社を立ち上げます。
大手アパレルのOEM生産が決まり、スタッフも雇い、順調な滑り出し。
しかし、実際に経営してみると「やってみてわかったけれど、資本家は向いていなかった」と当時を振り返ります。
そんなときに出会ったのが、後の相棒となるヤン・チャオ氏でした。
楊超(ヤン・チャオ)
楊超(やん・ちゃお)
1975年生まれ。北京を拠点に1998年より靴デザイナーとして活動。
「Kappa」「Paul Frank」などのグローバルブランドで活躍し、デザイン経験を積む。
天才と意気投合
ヤン氏との出会いは、中国の工場。ひと言で表すなら──天才。
靴は、絵型という二次元の設計を三次元に起こすものですが、彼のつくったサンプルを見て太田氏は驚きます。
「あのダサかったファーストサンプルを、よくもまぁここまで格好良くまとめたな!」と。
話してみると、理想とするものも価値観もぴたりと一致していて、気づけばどちらからともなく「一緒にやろう」という流れになっていたそうです。
とびきりの工場との出会い
時を前後して、太田氏は“とびきり”の工場と出会います。取引先の要望に応えるため、新たな生産体制を整える必要があり、ツテを頼って辿り着いたのは──広州の工場でした。
これまで100以上の工場を見てきた太田氏ですが、その工場は圧倒的に違っていました。
何よりも、マインドがいい。
「安かろう悪かろう」とは真逆の姿勢で、品質を最優先し、手仕事を何よりも大切にしていたのです。デザインへのリスペクトもあり、アイデアを横流しするような不安も一切なかったといいます。
社長は当時40代後半。
まだ若いながらも業界ではすでに名の知れた存在で、名だたるブランドの製造を請け負っていました。
そんな彼が、海のものとも山のものともわからない自分たちの将来性を買ってくれた。
太田氏はその瞬間、心の中で確信したといいます。
──「これで戦える」と。
ブランド誕生
そして2015年、太田氏はついにイタリア・ミラノで開催される国際靴展示会「MICAM」への出展を果たします。
「起業の次に掲げていた目標は、自分のブランドをつくることでした。」
その言葉どおり、長年の経験と情熱、そして信頼できる仲間との出会いを経て──「Flower MOUNTAIN」は産声を上げます。
ブランド名の由来
「Flower MOUNTAIN(フラワーマウンテン)」という名は、ヤン氏が度々ハイキングに訪れている山に由来します。
といっても、山の正式名称ではなく、彼が親しみを込めて勝手に名付けたニックネームなのだそうです。
ブランドのジャンルはアウトドアシューズ。自然をモチーフにしたデザインと、どこかハッピーな響きをもつ名前──。
「これがいいじゃないか」とブランド名として即決したそうです。
デザインのこだわり
人の手から生まれるスニーカー
アッパーに目を凝らすと、花を覆うようなディテールや穴飾り、滑らかな曲線を描くステッチラインなど、自然の息づかいを感じさせる繊細なデザインが浮かび上がる。その造形にリアリティを与えているのが、随所に施されたステッチやパンチングなどの手仕事です。
多くのスニーカーは、オートメーション化された工場から生まれます。
もちろんそれを否定するつもりはありませんが──「そうじゃないスニーカーがあっても、きっと面白い」太田氏は、かねてよりそう考えていました。
近年主流となっているミニマルデザインとは対照的に、フラワーマウンテンのスニーカーはどこか装飾的。それでいて決してうるさく感じないのは、自然の造形美を見事に調和させるデザインワークがあるから。
自然から着想を得て、人の手で完成させる。そこにこそ、フラワーマウンテンの真髄があります。
感性の化学反応
ふたりともデザイン画を描き、工場に出向いて細かな指示を出す。太田氏が描いたデザインをヤン氏が仕上げることもあれば、その逆もある。
すべてをひとりで完結させることもあるが、最終的に生まれるプロダクトを見れば、やはり“ふたりで創り上げたもの”の方が、断然おもしろい。
「ふたりの血が混ざり合うような感覚ですよね」と太田氏は語る。指示していたものとは全く違う仕上がりになることもあるが、それが予想外の魅力を生むことも多い。
意外と、計画よりも“流れ”を大事にしているのだという。
ソールデザインに込めた情熱
アッパーのデザインをふたりで磨き上げる一方で、ソールに関しては、ほぼ太田氏が一手に手掛けています。取引先からのオファーを受けるうちに、次第にソールデザインの奥深さにめり込んでいった太田氏。
ソールは、シューズのパフォーマンスを左右する重要なパーツであると同時に、デザインとしても無限の可能性を秘めた領域。
「最先端の技術や素材では大手に敵わない部分もあるかもしれません。ですが、デザインでは名の知れたソールメーカーにも負けていない」そう太田氏は、自信をのぞかせます。
世界へ快進撃
デビュー直後から快進撃を続けている「フラワーマウンテン」。
転機となったのは、パリの伝説的セレクトショップ「コレット」のディレクター、サラ・アンデルマン氏の目に留まったことでした。「サラがオーダーをつけた」「コレットで扱われているらしい」――。そんな噂が立てば、たちまち業界中で話題になります。
いち早くコレットがオーダーしてくれたことが、大きな波及効果を生み、その後もニューヨークの「キース」、ロンドンの「オフスプリング」、ローマの「リナシェンテ」など、世界の有力ショップとの取引が次々と実現。
その勢いはとどまることを知らず、現在では海外アカウントが100店舗を超えるまでに拡大しています。
Flower MOUNTAINシューズ一覧
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おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は、フラワーマウンテンのブランドルーツや、デザイナー2人のストーリーを深掘りしてみました。
いやぁ~改めて感じたのは、このブランド、やっぱりただのスニーカーじゃない!
自然からインスピレーションを受けて、人の手で丁寧につくり上げる。量産の時代にあって、ここまで“熱”を感じるブランドはそう多くありません。
背景を知れば知るほど、ますますコラボモデルの「ヤマノ3」が欲しくなってきました。
ぜひ皆さんも、フラワーマウンテンのシューズを実際に手に取って、その魅力を体感してみてくださいね。
コラボヤマノ3を履いてトレッキングにチャレンジした記事も読んでみたい!と思った読者の皆様。応援メッセージお待ちしてます!
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