【対談】デザイナーが「これ以上のモノはない」と?い切れる、?本製のニットセーター
こんにちは。コロモビト.です。
⽇本製のニットブランドが多数ある中で、その存在感を放つsoglia(ソリア)のニットセーター。
クセのないサイズ感と、ひじの部分についたフェルトのエルボーパッチがアクセントに効いた上品なニットです。
程よいミドルゲージでシンプルかつ着こなしの幅の広い一枚。
そんなsogliaのニットセーターがどのようにして⽣まれたのか、デザイナー佐井⽒にインタビューしてきました。
またこの秋冬にデザイナーが⾃信を持ってリリースする
新しいシリーズのニットセーターについても語っていただきました。
デザイナーの意匠をひもとき、
ニットのいまとこれからが⾒えてくるようなインタビューです。
ブランドデザイナーインタビュー
sogliaブランドプロフィール
ヨーロッパで厳選された上質な⽑⽷を、⽇本の職⼈が丁寧に編み上げるニットブランド。
柔らかな質感と表情ある⽑⽷が、美しく鮮やかなカラーリングを⽣み出します。
INSTAGRAM:@soglia_jp
登場⼈物プロフィール
佐井 洋児 (写真左)
INSTAGRAM︓@acenine3142
1980年⽣まれ。株式会社エースナイン代表兼デザイナー。
⾜⽴ 太 (写真右)
1987年⽣まれ。ROCOCOのモデル兼コロモビト.執筆者。
ニットブランド 「 soglia(ソリア)」の 傑作ニットセーターについて
― 足立 ―
ブランドのスタートがニットセーターだったと仰っていましたが、なぜニットブランドを作ろうと思ったんですか︖
(対談第1話【対談】sogliaやCOOCHUCAMPを⽣んだ、エースナインを徹底リポート参照)
― 佐井 ―
僕は独⽴前、もともとレディースアパレルの会社に勤めてたんですよ。
そこでニットセーターの売れ⽅なんかをよく⾒ていたということもあって、
独⽴当初から、セーターのブランドをやりたいと思っていたんですよ。
ブランドの代表アイテムについて
― 足立 ―
sogliaの代表アイテムと特徴を教えて下さい。
― 佐井 ―
代表アイテムはLANDNOAH(ランドノア)という素材のニットセーターですね。
ブランドを始めた当初、ジャミーソンズみたいなフェアアイルのニットセーターがトレンドでした。柄物で⼿編みの雰囲気のセーターです。
それが数年続いていたんですけど、徐々に流れは変わってきて。ちょうどトレンドが無地のニットに移⾏していくときに、この「ランドノアのエルボーパッチ」のニットセーターを作ったんですよ。
分かりやすい特徴は3つ、
①イギリスの⽺⽑をつかっている
②⽇本製でありながら買いやすい値段
③エルボーパッチのデザイン
というところです。
①イギリスの羊毛を使用している
ニットは⽺⽑⽣産の盛んなヨーロッパで広まったアイテムです。
気温が低いヨーロッパでは、暖かい⽺⽑は必需品だったんですね。
それで第⼀弾は、歴史的背景のある「ヨーロッパの⽷をつかったアイテムを作ろう」と決めました。
ランドノアの特徴は、イギリスの⽺⽑を使⽤していてカサ⾼性があること。
空気を多く含む⽷なので暖かいという事です。
ですが、ただイギリスの⽑⽷をつかって単純にシェットランドのセーターを作るだけだと競合も多い。
ということで、そんなセーターを⽇本製でつくろうと決めました。
②日本製でありながら買いやすい値段
値段については、市場調査したうえで
「⽇本製のセーターで税込1万5千円くらいにおさえる」
というコトを目標にしました。
その当時は”⽇本製のニットセーター”ってまだあんまり無かったんですよ。
今は同じような並びだとVINCENT ET MIREILLE(ヴァンソン エ ミレイユ)なんかがありますけど、おそらくsogliaと同じくらいの時期に始まったんだと思います。
ちなみに、イギリスの⽺⽑の種類の多さは世界⼀。
そんな数ある種類の中から作りたいイメージに近い⽑⽷を選ぶのは⼤変な作業でした。
③エルボーパッチ
エルボーパッチも、ニットの⽣地とパッチのバランスがすごく難しくて苦労しました。
もしかしたら、『なんとなくパッチが付いてる』くらいにしか感じないかもしれないですけど、
⽣地感のバランスやテンションなど、けっこう難しくて⾊々と試⾏錯誤しましたね。
イギリスの⽺⽑をつかって、エルボーパッチもついて、⽇本製で。
それでも充分に商品として成り⽴つとは思うんですけど、
プラス1のデザインをどうしようかなって思っていました。
そこで、
「誰もが知っている、champion(チャンピオン)のリバースウィーブのデザインを上⼿くセーターに落とし込みたい」
と思ってこのセーターのデザインに取り入れてみました。
僕は古着が大好きっていうバックボーンがあるんで。
正直、これ以上のモノはないですね。
できた瞬間に「これはキタ」って思いました。
僕の中で「究極のセーターはこの⼀着で完結した」と思ってます。
もし、これ以上のモノを作ってくれって⾔われたら、たぶん無理ですね(笑)
…と⾔えるくらい、この⼀着には⾊々なモノが詰まっているんです。
このニットセーターは7年くらい前にスタートしたアイテムなんですけど、
これまで、あえてシルエットなど何も変えてないんですよ。
今のトレンドは、ゆったり⽬のリラックスしたシルエットになっていて、
ブランドによっては定番アイテムのデザインをワイドシルエットに落とし込んだモノをリリースしていますよね。
でもこのランドノアセーターに関しては、
「従来のフィット感のあるイギリスのセーター」っていうのをずっと貫いてます。
サイズ展開を拡げてXLまで⽤意したりはするんですけど、シルエットについては変えずいこうと思っています。
変更する点は、新⾊を出したりするくらいですね。
その年によってボーダーを出してみたり、クレイジーパターンを出してみたり。
今年はフェアアイル柄をリリースします。
このように毎年、無地+何か柄物 を⽤意しようとは思っています。
2020年、ニットのこれから
― 足立 ―
すこしずつまた柄物が求められるようになってきてるんでしょうか︖
― 佐井 ―
う〜ん。
2〜3年前にちょっとだけそんな声もあったんですけど、結局フタを開けてみるとそんなコトはない気がしますね。
柄の⾯積的には、フェアアイル柄のようにボディ全体が柄になっているモノよりは、ノルディック柄のように肩のあたりが部分的に柄になっているモノは⾒かけますが。
全面が柄になっているようなモノは求められていないと思いますよ。
今年出すフェアアイルも、柄が全⾯にあるといったようなモノではなく、ノルディック柄くらいの感じで、まだ無地の割合が多いモノにしています。
sogliaの新作ニットをこっそりみせてもらいました
― 佐井 ―
さっきこれ以上のモノはないと⾔いましたけど、
「それに続くシリーズは作れないかなぁ」とずっと考えていたんです。
ランドノアとは違うテイストの
”発⾊の良い”、”なめらかで着⼼地の良い”モノを作りたいなぁと。
というのも、ランドノアのセーターはシックな雰囲気にするために、杢感のあるくすんだ⾊味にしてます。
この素材の雰囲気で発⾊をよくしてしまうと、⽷と⾊の雰囲気があわないんですよ。
発色をよくしようと思うと、素材を見直す必要があったんですね。
それで素材をどうしようかと試⾏錯誤のうえやっと完成したのが、
この秋冬に出るWEANNERS(ウィナーズ)というシリーズです。
ランドノアとは差別化された良いモノに仕上がりました。
素材と縫製のこだわり
― 足立 ―
⽑の質が全然違いますね。
柔らかくて、優しい感じがします。
― 佐井 ―
ランドノアがイギリスの⽺⽑をつかっているのに対して、このウィナーズはオーストラリアの⽺⽑をつかっています。
⼦⽺と成⽺の中間の⽺⽑で、⼦⽺の柔軟性と成⽺の弾⼒性を併せもっているのが特徴。
素肌にも着れるよう意識して、肌触りをカシミアタッチに近づけています。
着⼼地にもこだわり、無縫製のホールガーメント(※)で編み⽴てています。
(※ホールガーメント︓ニットは通常、前⾝頃・後⾝頃・両袖といったパーツを組み合わせて完成するのに対し、編み機から、⼀着まるごと⽴体的に成型する。縫い⽬がないため、すっきりしたシルエットや快適な着⼼地が特徴)
デザインのこだわり
ワンポイントはこの切り替えになった袖⼝のデザインです。
ちなみに袖を折り返して着てもかっこよく着れるようになっています。
この素材感で、⽇本製で、1万5千円くらいで、っていうのはなかなか他にないと思いますよ。
― 足立 ―
Tシャツの上に着てもチクチクしなさそうな素材感で、⼥性にも喜ばれそうですね。
― 佐井 ―
そうなんです。
肌触りもそうですけど、⼥性の⽅からも選んで頂けるようなソリッドな質感と⾊味にして、カラーバリエーションも豊富に⽤意しました。
というのも、例えばアウターだと⾦額が⾦額なんで、⾊違いで何着も買えません。
でもニットやカットソーは毎⽇のように頻繁に着れるアイテムですし、
気に⼊ったら⾊違いが欲しくなると思うんで、バリエーションを⽤意したかったんです。
― 足立 ―
おススメの着⽅はありますか︖
― 佐井 ―
このセーターはその⼈の好きなように着れるようにデザインしているので、様々な着⽅に対応できます。
シャツに重ねてきれい⽬な感じにも合わせれるし、⼀枚でモダンな感じに合わせれるし、古着のデニムなんかにも合わせれるし。本当にいろんな組み合わせを楽しめるアイテムだと思います。
昔はボタンダウンシャツの上にセーターを着るのが当たり前でしたけど、
何年か前からはシャツの上にセーターを重ねるヒトが減っているように感じます。
ちからの⼊ってない着⽅。例えばロンTEEの上にセーターを着たりとかするのがイマっぽい着⽅なんでしょうね。
性別問わず、そういう着⽅にも対応できるニットに仕上がりました。
― 足立 ―
佐井さんのおすすめカラーを教えてください。
― 佐井 ―
ウィナーズは男⼥問わずグレージュ(※)とか良いと思いますよ。
(※グレージュ︓グレーとベージュの間のカラー。 明るめでソフトで上品な印象)
ランドノアのほうは、定番のグレーとかも良いですけど、新⾊のグリーンは杢の雰囲気が最⾼でおススメです。
SOGLIA(ソリア)ランドノア ブリティッシュウール クルーネックニットセーター
ブランドデザイナーが「これ以上のモノはない」と言い切る、
フィット感のあるブリティッシュセーターです。
SOGLIA(ソリア) ウィナーズ シームレス メリノウール クルーネックセーター
ユニセックスで着用できる、発⾊の良いなめらかな
新作ニットセーターです。
最後に
sogliaの最⾼傑作ニットと新定番ニットについてお話いただきました。
「シックでクラシカル、渋くて男らしいランドノア」
「コンテンポラリーでモダン。明るく中性的なウィナーズ」
といったところでしょうか。
ひとことでニットセーターといえど、素材選びからデザインまで様々な工夫があり、
着る⼈のストライクゾーンに合わせてアイテムをラインナップしてあげる。
そんなニットブランドならではの優しさと⼼意気を感じました。
▼ エースナイン対談第1話はコチラ
【対談】sogliaやCOOCHUCAMPを生んだ、エースナインを徹底リポート
▼ エースナイン対談第2話はコチラ
【対談】sogliaやCOOCHUCAMPを生んだデザイナー、佐井氏を成功に導く3の言葉
▼ エースナイン対談第3話はコチラ
分厚く着心地の良い14ozヘビーウェイトTシャツ。その名はsogliaの「ゴツゴツ」